主人公は生きる意欲を失ったサラリーマン、梶省吾。妻の急逝によって、幸せいっぱいの生活は嘘のように消え、生活はどん底に。自殺を試みるも踏ん切りがつかず、失敗を繰り返す始末。
「俺、なんでまだ生きてんだろ…」。そんな気持ちでふと訪れた、”人魚”の伝説で知られる岬。そこは今は亡き妻・深雪にプロポーズをした思い出の地でもあった。「…ここで死んでも、いいか」。そう覚悟した梶の前に、一人の少女が現れる。月の光に照らされ、蠱惑的な笑みを浮かべながら、少女は梶にささやいた。「人魚なんですよ。わたし―――」
何もかも無くした男と、自らを”人魚”と称する少女。そんな二人が織りなす、ちょっと不思議なものがたり。
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